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薬局薬剤師の怠慢と期待

こんにちは!Junです。
僕自身が薬局薬剤師の仕事もしていますが、今薬剤師は大きな転機を迎えようとしています。今後の薬剤師としての価値が問われる時です。
今日は、薬局薬剤師についての本音をお話しします。

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薬局薬剤師は箱入り娘

最近注目される言葉や制度に、健康サポート薬局、かかりつけ薬剤師、ポリファーマシー対策などがあります。

  • 健康サポート薬局 → 地域住民の健康全体に積極的に関わり、薬だけでなく健康の維持・増進に対する相談及びアドバイスをする薬局
  • かかりつけ薬剤師 → 美容師のように毎回同じ薬剤師が担当することで、服薬管理や健康状態をよりよく把握してもらえる、より安心して相談することができる
  • ポリファーマシー対策 → 多くの薬を服用する患者の、薬による体調不良が起こっている状態(ポリファーマシー)の対策を行うこと

これらが新しい制度や期待される役割としてあげられているのですが、どれも薬剤師として当たり前のことばかりなんですよね。

 

昔から意識してやってきた薬局や薬剤師からすると、なにを今更感があるはず。というより、この辺をやっていない薬剤師はただの調剤マシーンと同じ。昨今話題の人工知能で十分です。

 

他にも病院と薬局間のフェンスの撤去についても議論がされていますが、僕はフェンスはなくてもいい考えています。

 

反対派によると医薬分業モデルに反するやら、病院との癒着が問題になるとか色々ありますが、

 

そもそも当時の医薬分業モデル自体古いものであるし、当時からは想像もできないぐらい社会構造が変わり技術の進歩が生まれた現在、新しい発想で対応していかないといずれまた変化を迫られます

 

なぜ医薬分業が必要かの軸はぶれてはいけませんが、実行するやり方は柔軟に変えていくべきです。

 

そもそもフェンスがあるせいで、薬剤師は閉ざされた空間の存在であったり、別物扱いになってしまい、他業種との連携が疎かになったのではとも考えられます。


癒着というと聞こえは悪いですが、高度な連携が取れるというと医療を受ける側としても頼もしいでしょう。

 

敷地内薬局が増えて困る多くの理由は、患者が流れて売り上げが落ちることのようですが、これは特別ではなく経営をする上で当たり前。ライバル店の出現など、飲食店や商売業などでは日常茶飯事で起こっています。

 

保険調剤という特殊な仕組みの中で、いつまでも国の方針や政策に乗っかり、受け身な体制を続ける限り、薬局薬剤師の存在価値が認められることはありません

 

制度に守られるということは、安心や安定なんかではなく、期待されるハードルが上がるということです。掲げた制度通りにできていれば普通、できていなければ信頼が下がるということです。そこから生まれる価値は一時的なものにすぎません。

 

本当の価値は自分たちで創りあげていくものです。

薬局薬剤師の価値 

なぜ薬局薬剤師の価値が薄まったのかについては、薬局にどういう人が来るかでわかります。

 

現在薬局に来る人の多くは、「薬が欲しい人」です。だから薬剤師に色々聞かれても、そんなことより早く薬欲しいんだけど…ということになります。

 

ファーストフードが流行したのは「食事がしたい人」に対して、効率良く短時間で食事を提供し、欲求を満たすことができたところにあります。

 

つまり、現在の薬局に来る人の欲求を満たすには、効率良く短時間で薬を渡すことになります。

 

しかし、これではまさにロボットで十分になりますし、健康に関わるものを提供する薬局ではこれはできません。

 

マクドナルドの流行時でも軸がぶれなかったモスバーガーは、ファーストフードにはない安心感があります。

 

薬局が目指すべきは単なるスピード化ではなく、利用者にいかに信頼され安心してもらえるかです。

 

なんのために薬剤師をしているのか、どんな薬剤師になりたいのか、今一度原点に立ち戻って考えることが必要です。

 

従来の薬局薬剤師業務の延長線上にあるのが在宅業務や夜間救急であり、これを専門とする薬局もあります。医師、看護師、介護ヘルパーなど他業種と積極的に連携を取ろうとする薬局もあります。

 

しかしもっとできること、生み出せる価値はまだまだあるはずです。常識やできる範囲で考えていては何も始まりません。

 

例えば、

 

小児科が多い薬局であれば、保育事業と連携し親に向けて情報発信することで、病気の予防や食育などへの関心と子育てへの安心感を持ってもらえるかもしれません。

外国人観光客が多い地域であれば、英語が話せる薬剤師はもちろんのこと、薬や健康の情報だけでなく、地域観光に関する情報提供ができれば付加価値が生まれます。

高齢者の横のつながりを支援するサークルをつくりイベントの集合場所を薬局にすれば、待ち時間に血圧や体調変化、服薬状況の確認ができます。

老老介護が珍しくない日本において、独り身でお住いの高齢者の家に訪問する、時間がなければ電話をする。これだけで、離れて暮らす家族にとっては薬局への信頼と、何より気にかけてくれる人がいるという安心感があります。

 

単に「薬がもらえる場所」という認識から、「価値ある情報が得られ、頼りになる場所」という認識に変わった時、本当の魅力が生まれます。

 

インターネットで調べればなんでも情報が得られる現在だからこそ、相手のことを理解した上で提供する情報には価値が生まれます

 

相手を理解するには、背景、生活習慣、環境などを聴き出すコミュニケーションが必要です。それが信頼される原点です。どれだけ研究や技術が発展しても医療の根本はこれです。

 

魅力ある薬剤師であれば、子どもからも学生からも憧れられ、結果として質の高い薬剤師が薬局に増えていきます。

 

これからの薬局薬剤師がとても楽しみです。伸びしろは計り知れません。